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相続税対策
相続税は、遺族に残した遺産に対して実際に財産を相続した人が納付する税金です。
相続税対策とは、相続税を減らすべく対策を行う。あるいは、相続税を納付できるように対策を行う。または両方の対策が必要となる場合があります。
- 相続税を減らす対策
- 相続税の納付対策
1. 相続税を減らす対策
相続税は、遺産に対して納付する税金ですから、遺産を少なくすることが、極論の対策でしょう。もっと極端に言えば、世界一周旅行などにより資産をすべて使ってしまえば、遺産はなくなります。しかし、これでは「遺族に財産を残す。」という目的からは外れてしまいます。
したがって、生前贈与などを検討することになるのでしょう。他には遺産の種類を変更するということも対策となります。
最近は、生前にお墓を購入される方も多いようです。これはお墓(法律用語では墳墓)については、「祖先の祭祀を主宰すべき者が承継する。(民法897条)」からです。承継であってお墓は相続されず、相続財産ではないですから、お墓については相続税の対象財産となりません。
不動産を購入するという方法も対策となる場合があるでしょう。不動産を購入することにより、相続税の対象となる財産の価値については計算上下がる場合がほとんどです。理由としては、簡単には現金化できないこと及びその不動産により将来得られるべき利益については、相続税の対象財産にならないことが理由となります。
生命保険に加入するという対策もあるでしょう。生命保険は遺族の生活保障の意味合いもありますし、受取人が受け取った死亡保険金はこれも相続財産ではありませんから、一定の額までは相続税の課税対象となりません。
相続人を増やすという方法もあるでしょう。例えば実子の配偶者を養子縁組することやお孫さんを養子として養子縁組することにより、家族全員の相続税は下がります。しかし、何人も養子縁組をすればいいというわけではなく、一定の制限があります。
このように、相続税を減らすためだけであれば、方法は多種にわたってあります。
ただし、相続税を減らすためだけに、ご家族で争いの種をまいてしまったり、不幸になってしまっては本末転倒です。しかしながら、相続税を減らすという側面のみで判断するのではなく、ご家族の生活設計をよく考えて実行することが望ましいのではないかと思われます。
そのためには、税金の知識だけではなく、家系の承継に関すること、不動産に関すること、生命保険に関することなどを理解している専門家やそれぞれのネットワークがある当サイトの運営法人まで是非ご相談されることをお勧めします。
2. 相続税の納付対策
相続税は、相続が発生してから10ヶ月以内に、現金で一括納付しなければなりません。
分割納付(延納)または不動産そのもので納付(物納)も可能ですが、認めてもらうためには高いハードルがあります。
遺族が相続した財産がすぐに換金できるとは限りませんし、経営されている会社の株式や事業用の敷地、自宅などは現実的に換金できない場合もあるでしょう。
「相続が3代続けば、財産がほとんどなくなってしまう。」という言葉もありますが、先祖代々の財産を守るために、または築き上げた財産を守るために、さらにはご家族が相続によって生活レベルが下がらないようにするためにも相続税の納付対策も重要となります。
相続税の対策もいろいろ方法がありますが、ご家族にとって、先祖代々の土地を守りたい。子供には迷惑をかけたくない。長男には家を守ってもらいたい。など事情によって対策も当然異なります。じっくり話し合いを重ねながら、時間をかけて対策案を練ることが肝要ではないかと考えております。